順当な正常進化形か?新Surface Pro詳細レビュー
マイクロソフトからSurfaceシリーズのメインストリーム機であるSurface Proの新機種が登場しています。
これまでは名前の最後に数字がついてその数字が世代を表していましたが、今度のSurface Proには数字がなくなり、単に「新Surface Pro」と呼ばれることになりました。
Surface Pro 4とは横に2台を並べて比較しない限り、一見してどちらがどちらの機種なのか判別が難しいぐらいに外見はよく似た2機種だと思いますが、中身のほうは着実に進化させてきています。
今回は新Surface Proの中位の機種のうち、CPUにCore i7を採用した機種を入手して使い勝手を探ってみました。
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目次
スペックおさらい
まずは新Surface Proのスペックをおさらいしてみましょう。
新Surface ProではCPUには第7世代のCoreプロセッサを採用しています。
第7世代のCoreプロセッサは内部のアーキテクチャ的には第6世代と全く同一になっていますが、製造プロセスの改善によって同じ消費電力・発熱ならばその分動作クロックが向上、また同じ動作クロックであれば消費電力・発熱が穏やかになっています。
実性能面では第6世代のチップからの大きなジャンプはありません。
新Surface Proではタブレット向けのCore m3、一般的なノートPC向けのCore i5、Core i7が選択可能になっています。Core i7では統合GPUとしてはかなり高性能なIris Plus Graphics 640を統合したチップが搭載されます。
今回入手した機種もこのCPUを使っていますので、グラフィクス性能に関してはこのあと少し詳しく見ていくことにします。
手元の新Surface ProではCore i7-7660Uが搭載されています。このCPUは定格2.5GHz、ブースト時には最大4GHzで動作します。
ただしカタログ上にはCPUのモデルナンバーは明記されていませんので、発売からある程度時間が経過したときに部材のランニングチェンジもあり得るのかもしれません。
新Surface Proでは廃熱機能が改善されており、タブレット向けのCore m搭載機だけではなくCore i5搭載機でもパッシブ冷却が採用されていて、ファンノイズがなくなっているのも特徴です。
また、Core i7搭載機でもファンノイズが大きく軽減されたとされています。
メインメモリはエントリー機種では4GB、中位が8GB、上位機種は16GBを選択可能です。SSDは128GB~1TB。PCI-E接続の超高速SSDが使われています。
液晶パネルは12.3型でSurface Pro 4のものを継承。2,736 x 1,824ドットの高解像度のパネルが使われています。
タッチパネルは10点タッチ対応で、新たに登場した4096段階の筆圧検知、ペンの傾き検知に対応する新Surface Penが利用できるようになっています。
新しいSurface Penの発売がなぜか新Surface Pro発売とタイミングが揃わずしばらく後になるため、残念ながら今回は新しいペンとの組み合わせは確認ができませんでした。
本体のサイズは292mm x 201㎜ x 8.5㎜。重量はCore m3モデルが768g、Core i5モデルは770g、Core i7モデルは784gです。
インタフェースはUSB3.0のType-Aコネクタが1つ、マイクロSDカードスロット、mini DisplayPort、イヤフォンジャックがあります。
無線LANはIEEE802.11acに対応します。
リアカメラは800万画素センサーを採用。フロントカメラはWindows Hello対応の500万画素センサーのものです。
箱から出してのファーストインプレッション
先代のSurface Proよりも箱が若干簡素化されたイメージです。クラムシェル型といいますか、上下がくっついた箱ではなくなっています。キッチリ出来すぎていて気密性がとても高く蓋をあけにくいのが微妙に気になりはしましたが、相変わらずの美しいパッケージです。
保護フィルムなどの使い方は先代と同様でかなりしっかりと本体をカバーしてありますが、保護フィルムを破かずに剥がしやすい工夫がしてあります。本体に傷をつけずにユーザーの手元まで届けよう、という意図が伝わってきます。
同梱品は相変わらずシンプル。
いくつかの小さなリーフレットと、電源のみとなっています。
正直なところ、本体を出してみても先代のSurface Pro 4との違いは全く分かりませんでした。その点での驚きなどは残念ながらありません。
一度、先代を触って大きさと重さの感触を覚えたためか、今回はサイズよりも軽く感じるといった違和感のような感触を覚えることもありませんでした。
電源ボタン、ボリュームボタンのある本体上側の縁部分だけ塗装の色が異なります。無線LANのアンテナが内蔵された樹脂部分かもしれませんが、デザイン的な面であえて色を変えている雰囲気です。
タイプカバーには今回は手のひらが触れる部分にイタリア製の高級合成皮革「アルカンターラ」を使った、シグニチャタイプカバーを選択してみました。
アルカンターラは高級自動車のシートの表皮にも使われる素材ですが、やはり手触りは素晴らしいです。ただ、夏は手汗や手あかの汚れのケアがちょっと気になる部分ではあります。
その代り冬にタイプカバーが冷え切った状態でも、冷たさを過剰に感じることはなさそうです。
インタフェースポートなどの外観
インタフェースポートは正面向かって右側にmini DisplayPort、USB3.0、AC給電用コネクタが並びます。
左側にはイヤフォンジャック、
左のキックスタンドの陰になる部分にマイクロSDカードスロットを備えています。
上側には電源ボタンとボリュームのボタンがあります。
下側・キックスタンド側の縁には、タイプカバー接続用の有線コネクタがあります。
電源投入から最初のサインイン
新Surface ProはWindows 10のCreators Updateが適用された状態で出荷されています。
今回もバッテリーの容量のほうは十分な状態で手元に届きましたが、念のためACアダプタを接続した状態で初期セットアップを行いました。
起動はもちろん電源ボタンからですが、今ままでのSurface Proなどとは異なり長押しがいらなくなったイメージです。
どちらかというとデスクトップパソコンやクラムシェル型のノートパソコンの電源スイッチのイメージで、ボタンを1度押すとすぐに起動する感触です。
電源ボタンが外側に露出する形ですので鞄の中に納めたときなど、誤って電源が入ってしまわないのかちょっと心配ではあります。
Creators Update適用後のため、初期設定はCortanaのガイド音声込みで進めていくことになります。
一部「ロボ声」的な不自然なイントネーションになる言葉もありますが、思っていたよりもはるかに自然な日本語を話してくれて驚きます。
初期設定自体はいつものWindows 10の流儀でとてもシンプル。すぐに終了します。
ただちょっと気になったのは、初期セットアップ時にはキーボードがなぜかASCII配列で認識されているところです。
マイクロソフトアカウントでのセットアップを行おうとすると、ASCII配列に慣れていない方は「@」の入力で戸惑うと思われます。
※ASCII配列ではShiftキー+数字の2で@が入力できます。
初期設定が完了してデスクトップが表示されると、このような画面表示です。
やはりフォントのスケーリングの初期値は200%。フォント表示は非常にきれいです。
ただ、やはり200%では画面表示の際の文字数としての情報量がもったいないので、今回も150%の設定で試用しています。
この際の文字のサイズ感はこのようなイメージになります。
表示できる文字数としての情報量は、解像度1,800 x 1,200ドットぐらいのディスプレイと同等のイメージになるはずです。
初期状態のCドライブの使用状況はこれぐらい。
かなりWindows 10自体がスリムにまとまっていることがわかります。空き容量は一般的な利用には十分といえるでしょう。
今回はストア版のCrystalDiskMarkでSSDの性能を測っています。
やはりPCI-E接続のSSDらしい高速さではありますが、今はもっと転送速度の出るSSDもありますので特に突出した値とは言えないレベルの性能です。
液晶の表示
液晶の表示は相変わらず緻密で美しいものです。
グレアパネルであることも相まって、色の表現も深く鮮やかなものになっています。
またこの機種ではパソコンで一般的なsRGBの表示モードに加えて、よりコントラストと色の鮮やかさを立てた形の「Enhanced」が選べるようになっています。
こちらを使うと、特に赤系統の色がぐっと深みを増す感じです。またコントラストが高まって、画像などのメリハリがより際立ちます。
ただし、フォトレタッチや動画の詳細な編集を行なう際など、しっかりした色の確認が必要なシーンではsRGBモードを使うべきでしょう。こういった用途にはEnhancedはちょっと演出過剰な色モードです。
色温度自体が低い訳ではなさそうなのですが、sRGBモードでも白は若干黄色っぽく感じます。
液晶の輝度の設定は設定画面やキーボードから行う場合でも、日本のノートPCと比べるとかなりおおざっぱで、0%~100%まで11段階の設定です。
アクションセンターからは5段階の設定しか選べません。
ただし、明るさの調節範囲自体はかなり広く、0%にすると夜間でもちょっと使いにくいぐらいの暗さまで落とすことができます。また100%は昼間でも室内だとちょっとまぶしいレベルの明るさになります。
通常室内で利用するならば、20%~30%程度の明るさで十分でしょう。
タッチパネルの反応
タッチパネルはSurface Pro 4などと同様に、とても反応が良く仕上がっています。タッチした場所と実際に認識される位置のずれも小さく違和感のない操作が可能です。
指先でのスクロール操作はほぼ問題はなく、フリックして自動的にスクロールさせた際のスクロールの動きが若干重いかな?ぐらいの感じで、かなり自然に使えます。
初期のWindows 10系で感じた、はじくようなフリック操作をした際にガクッとスクロールスピードが落ちるような違和感はほぼ解消したようです。
ペン操作は従来型のSurface Penで行ってみましたが、やはり操作感は良好です。
また、今のペンはペン先が変更になったのかもしれません。ペンの「当たり」が柔らかくなり滑りすぎる感触がなくなりました。とても書き味が良くなっています。
その代り、おそらくペン先の摩耗は早くなっている可能性がありそうです。
ペンは従来機同様、新Surface Proでも側面に磁石で吸着させられます。
スピーカーからの音
スピーカーの音質にはやはり感心します。この本体の薄さながらかなりクリアな音が出てきます。
スピーカーボックスの容量をどうやっても取れませんから、低音は全くと言っていいほど出ませんが、その部分以外はかなり音のバランスも良好です。
先日ストアアプリ化されたSpotifyをインストールして音楽を流してみると、低音が出ないためどうしても重心の高い音のバランスになりますが、BGMとして聞き流す分には十分な音質があると言えそうです。
雰囲気としてはFMラジオ、ぐらいの感触でしょうか。ボーカルもハスキーな声になったりするところが少なく、人の声の再生能力は結構高いものがありそうです。
音声チャット、ビデオ会議などにマッチするスピーカーかもしれません。
あと、ステレオ感はびっくりするぐらいにあります。Surface Proの本体の幅を軽く超えて音が広がる音場がなかなかに心地よいです。
本体の発熱とファンノイズ
Core i7タイプの本体ではアクティブヒートシンクを使っていてクーリングファンが搭載されていますが、負荷をかけてもその動作音は非常に静かです。ベンチマーク実行時にも本体に耳を近づけないと騒音が聞き取れないぐらいに静かです。
この部分は確かに前世代機よりも大きく改善されたと思います。
また、アイドル時・低負荷時にはファンは停止しますので無音動作が可能です。
ただ、発熱はかなりあります。AC電源を利用したベンチマーク実行時には、背面上側(電源ボタン、ボリュームボタンのあるあたりの裏側)がかなり熱くなります。
テスト実行時に室温がかなり高かった(28度前後)こともありますが、おそらく最も熱い場所の温度は50度は超えていて、タブレット形態で膝の上にのせて使うのは難しいレベルの発熱です。
ただ、本体下側の温度上昇は控えめで、タイプカバーを取り付けたノートPC的な状態で膝の上で使用しつつ負荷をかけても、温度面はあまり問題にはならなそうです。
今回行なったベンチマーク程度では温度上昇によるサーマルスロットリングを起こしている雰囲気はなさそうですので、Core i7の発熱も逃がし切れてはいるようです。ですが本体背面はある程度発熱することは覚えておいたほうが安全です。
バッテリー駆動時、特にバッテリー節約モードをONにすると、発熱はかなり穏やかになります。ですが、それでもベンチマーク実行時には40度近くまでは温度が上がっている雰囲気です。
もちろん通常のWebブラウズや文書作成程度であれば、本体温度は全く気になりません。
室温が18度ぐらいの中で追試を行なってみました。
背面の温度はかなり下がり、最も熱い場所でも45度前後だと思います。デスクトップパソコンなどの排熱に余裕のある機種とは異なり、冷却能力に室温が与える影響がかなり大きいようです。
タイプカバー
タイプカバーのキースイッチははっきりしたクリック感のあるタイプで、キーピッチもフルサイズありますから、長文入力も全く問題なく行えるキーに仕上がっています。
ストロークは今のノートパソコンと同等のものは確保されていて、こちらもタイピング作業に何の問題もありません。
微妙に気になるのはキーボードの第4列、数字キーの列のキーのオフセット量が一般的なキーボードよりも小さめなところです。このため、キー位置に指が慣れるまでは数字や一部の記号入力でミスタッチが出やすくなっています。
また、強くタイプするとどうしてもキーボードのベースはたわみます。そこが気にかかるユーザーもいるかもしれません。たわむ分、キーが底を打った時の衝撃が和らげられる、という部分はメリットになるかもしれません。
ただ、Surface Pro 4レビュー時に使った一般的なタイプのタイプカバーよりも、キーボードのベース部分の剛性が上がっているかもしれません。たわみ度合いが軽減されている感触がありました。
キータッチ音に関しては構造上どうしようもないところがありますが、音がタイプカバー裏側に抜けてしまうためやや大きめで、ポクポクといった感じの微妙に高級感の薄い音になってしまいます。
タッチ自体は悪くないだけにちょっと残念な部分ですね。
この部分を改善しようとすると重量面がどうしても増加するはずですから、Surface Proの性格を考えるならば、こちらの構造のほうがが合っていると思います。
ベンチマークとゲームの印象
一般的なCPUの処理性能を見るために今回もCrystalMark2004R7を使わせていただきました。
既定の設定のままでもCPU性能はSurface Pro 4よりもかなり上がっているようです。
特にメモリ周りの性能向上が大きく、使用しているメモリのタイプがDDR3からDDR4に変更になった影響がかなり大きく出ているようです。
メモリ性能はパソコンの能力全てを下支えする重要なファクターですから、この部分の底上げは色々な面に地道に効いてきます。
このベンチマークアプリで見るとFPU(浮動小数点演算)の性能が若干ではありますが、Surface Pro 4のものよりも下がっているところがちょっと不思議ではあります。
CPUのマイクロアーキテクチャが刷新されていますので、そのあたりの影響が出ているのかもしれません。ただ、この部分が実操作感に響く箇所はほぼないでしょう。
ゲーム・3D系のベンチマークには今回もドラクエXベンチマークを使わせていただきました。
今回テストしている機種のCPU、Core i7-7660UにはCoreプロセッサ用、統合GPUとしてはかなり高性能なクラスになる「Iris Plus Graphics 640」が採用されています。
その性能が遺憾なく発揮される形で、統合GPU搭載機としては非常に高い性能が出ています。
試しに手元の独立GPUとしてGeForce GT 640Mを搭載したノートパソコンでも同じ設定でベンチマークを行なってみたのですが、それよりも30%近く高い数字を叩き出しています。
(GeForce GT 640M搭載ノートPCでの測定結果)
GeForce GT 640Mは数世代前のチップで直接比較にはちょっと可哀想な部分もあるのですが、それでも専用のVRAMを持つ独立GPUの性能を統合GPUが超えているというのには、ちょっとした感慨も覚えます。
ちなみにデスクトップ用ですが、最新のNVIDIAのエントリーGPU GeForce GT1030では、今回テストした新Surface Proの倍ぐらいのスコアを出すようです。
さすがに差はあるのですが、それだけの差が作れなければ独立GPUとして商品化できないようになった、と言う意味では統合GPUがパソコンの世界を一つ変えたのかもしれません。
ただ、新Surface Proでゲームを遊ぶ場合に問題となるのは、解像度の高い液晶パネルとの兼ね合いです。
DirectXを使うゲームでは基本的にフォントのスケーリングがゲームの文字表示に反映されませんので、表示される文字が豆粒サイズになります。この部分の運用をどうするかは、ゲームにも使いたいユーザーが頭を悩ませることになりそうです。
その他のアプリの使用感とSurface Dialとの組み合わせ
今回のレビューでもキヤノンのデジタルカメラのRAWデータ処理用のソフト、「Digital Photo Professional」のバージョン4の操作感を確認してみました。
このソフトは高スペックのデスクトップパソコンでも動作が重めで、非力なノートパソコンなどには少々荷が重いソフトになっています。
新Surface Proでの操作感はかなり良好で、拡大表示した画像がJPEGであれば画像のスクロールは操作に良く追従してくれます。
表示している画像がRAW形式になると、さすがの画面表示用データの生成処理が間に合わなくなるようで、スクロールの追従性がかなり悪くなります。
ですが、この辺りはハイパワーのデスクトップパソコンでもある程度操作のスムーズさを諦めなければならないレベルの重さのあるソフト・処理ですので、この程度は致し方ないでしょう。
RAWデータからJPEG形式の画像を生成する処理の実行速度はなかなか良好です。
Core i7で2コア4スレッド対応になっている部分と、ターボブーストで最大4GHzまでクロックが上昇する部分が有効に働いているようです。
画面解像度の高さ、色再現の良さと合わせ、写真のレタッチ処理などには非常に適したマシンと言えるでしょう。
Surface Dialも使用してみましたが使用感の方は上々です。
ガタがほとんどなく粘るような重い感触の高級感のある操作感と、バイブレーター機能を使った擬似的なフォースフィードバックによるクリック感の演出がかなりいい感じです。
新Surface Proではキックスタンドを開ける角度がさらに広がって、思い切り画面を倒すことで液晶タブレット的な使い方を可能にしています。これとSurface Dialを組み合わせることで、かなりアナログ的、直感的なソフトの利用が可能になりそうです。
まだ対応ソフトが少ないのが残念です。この部分は今後に期待ですね。
ただ、新Surface Proの画面にSurface Dialを乗せて使う場合には、ちょっと画面サイズに比べダイアルが大きすぎるかもしれません。
画面にダイアルを載せたときに、ダイアルの回りに表示される円形のメニューは画期的なインタフェースですが、新Surface Proの場合には画面横にダイアルを置く方が使いやすくなりそうです。
少し気になる点
気になった点は3点ありますが、1つは発熱に関する内容で、前の部分に既に具体的な内容は記載しました。
高性能な分、仕方がないとは思いますが、背面がある程度温度が上がる可能性があることは覚えておいた方が良いと思います。
2つめは、キックスタンドを大きく開いたときに、スタンド側の剛性が足りないことです。
ペン操作などを行なうと筆圧が高くなくてもスタンドがたわみ、画面が上下にぶれてしまいます。操作性としてはかなり理想に近い利用形態になりますが、今のキックスタンドの剛性だとペンを使った微妙な作業には向いていません。
3つめは、電源管理まわりの詰めの甘さです。
きめ細やかな電源管理が行えるような形にはなっておらず、日本製モバイルノートPCのような長時間のバッテリー駆動はちょっと苦手だと思われます。
途中からSpotifyでBGMを流しつつテキスト入力を2時間ほど行なうと、バッテリーを20%ほど消費していました。
電源管理のパラメータの中にCPUの設定項目がなく、電源管理用のスライダーを最も省電力の設定にしても、負荷がかかるとCPUは最大クロック近くまでブーストがかかります。
この辺りも抑制できると、もっとバッテリーでの駆動時間を延ばせるのではないかと思います。
まとめ
いくつか若干気になる点も残してはいますが、やはりトータルで見ると新Surface Proの完成度はさすがのものがあります。
マイクロソフト自らパソコン用の高機能OSとタッチパネルとの組み合わせで何が出来るか、そのコンセプトを追求しているのがSurfaceシリーズではないか、と思います。
そんな中でより高機能なスタイラスペンを開発したり、Surface Dialという全く新しいデバイスで新たな可能性を提案したり、OSメーカーがハードウェアを手にかけるメリットを遺憾なく発揮しているように思います。
ただ、新Surface ProはSurface Pro 4から見ると目新しい機能の追加はあまりありません。このためSurface Pro 4からのリプレイス機としておすすめできるかというと、少し微妙な部分を残すかもしれません。
この場合には、4,096段階の筆圧検知と傾き検知を可能にした新Surface Penの必要性が鍵になると思います。
それ以外でタブレット寄りの高性能2in1 PCを検討しているユーザーには、今回の新Surface Proも自信を持っておすすめできる内容を備えたマシンに仕上がっています。
前機種が価格面でとても魅力的なプライスタグが付けられている場合以外は、新Surface Proを選んでおくのが正解だと思います。