バッファローのコンパクトなポータブルSSD「SSD-PUT250U3」を使ってみた

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USBメモリが一般化してかつてのリムーバブルメディア、古くはフロッピーディスクやMO、CD-R等々を置き換えてもう結構な時間が経った感じがします。

今ではUSBメモリもかなり大容量化していますが登場当初はフラッシュメモリの単価が非常に高かったせいもあって、大きな容量のデータを持ち運ぶためには「ポータブルHDD」が使われていました。

元々ハードディスクは稼働する部品がある上にデータの読み書きを行なうヘッドが極めて衝撃等に弱い部品なので、持ち運びにはあまり適していません。

こういったHDDの弱点とここ数年で一気に容量あたり単価が安くなったSSD側の事情が組み合わされたことで、かつてのポータブルHDDはほぼ完全に「ポータブルSSD」に置き換えられるようになっています。

そのポータブルSSDにちょっとまた動きがあります。従来のポータブルHDDサイズのものではなく、USBメモリと同レベルの小ささを実現した製品が出始めたのです。

性能は(SSDとしては)やや控えめながら容量あたり単価は大容量のUSBメモリなみ。そんな製品の一つ、バッファローのSSD-PUT250U3を購入してみましたので、ちょっと詳細に性能などを確認してみます。

⇒ SSD-PUT250U3の詳細はこちら

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SSD-PUT250U3の外観

まずはSSD-PUT250U3の外観から。

ぶっちゃけ一見しての外観はUSBメモリそのものです。

USBコネクタ部分をスライドして格納できる仕組みがありますが、同じギミックを採用したUSBメモリもたくさんあるので全く違和感はありません。

スライドのロックはかなりしっかりしているので、USBコネクタに差し込むときに引っ込んでしまってイライラすることはまずないでしょう。

一般的なUSBメモリと並べてみるとこんなサイズ感になります。

若干横幅と厚みがある感じはするものの手にした感覚で大きいとは全く感じません。

また、よほど密集して設置されているUSBコネクタでない限り、隣のコネクタに挿した何かとの干渉もないでしょう。

SSD-PUT250U3の製品のスペック

次にSSD-PUT250U3のスペックです。

接続用インタフェースはUSB 3.2 Gen1 x 1になります。いわゆるUSB 3.0接続ですね。インタフェース側の論理的な最大通信速度は5Gbpsとなります。

ただしUSBの規格では実際に使う帯域は論理的な最大値の80%とされているはずですので、実効転送速度の論理限界はUSB 3.0の場合4Gbps=500MB/sとなります。

このSSDのカタログスペックは最大転送速度が430MB/sとされていて、論理限界に迫るかなり優秀な性能を持つことが分ります。

ちなみにSSD-PUT250U3は容量250GBの製品で、他に製品バリエーションとして500GB、1TBの製品があります。

SSD-PUT250U3のベンチマーク

実際の性能を見るために定番のアプリのCrystalDiskMarkを使ってベンチマークを実行します。

結果は以下の通りとなりました。

シーケンシャルリードでカタログスペックを超える460MB/sの数値を叩き出しています。

ライトの性能の方もかなり良好ですが、キューデプスが深い状態(QD32)での性能の伸びが今ひとつですね。コントローラの性能限界か、接続がUSBとなっている影響かもしれません。

ですが何にせよUSBメモリとは段違いの性能を発揮しています。特にランダムアクセスが非常に高速で、このSSDにOSをインストールして起動用ドライブに使っても十分に良いレスポンスが得られる数字になっています。

著者が購入したときには250GB品がAmazonで4,880円でしたので、容量あたり単価はUSBメモリと同等か若干高い程度。なのに性能面ではUSBメモリの数倍の値を持ちます。

使い方次第ではありますが、コストパフォーマンスは非常に高い製品と言えると思います。

ちなみにSSD-PUT500U3500GB品は7,480円、SSD-PUT1TU31TB品は12,280円で購入できます。

⇒ SSD-PUT250U3の詳細はこちら

SSD-PUT250U3とUSBメモリとの違い

SSD-PUT250U3は形状もパソコンでの扱いもUSBメモリと大差はなく、非常に気軽に使える製品です。こうなると「ポータブルSSDってUSBメモリとどこが違うのか」という疑問も湧いてくるかもしれません。

実際、使い勝手は本当にほとんど変わりがありません。

Windows稼働中にUSBコネクタに差し込めばプラグ・アンド・プレイで自動認識・自動マウントが行なわれてすぐに利用可能になりますし、OSからの操作でPCの電源が入った状態でもドライブの取り出しが可能です。

普段使いの中では特別にUSBメモリとの違いを意識する必要はなさそうです。

ただ、厳密に見ていくとWindows側での扱いはUSBメモリとは違っています。

ディスクの管理ツールで情報を表示させてみると、以下の通りSSD-PUT250U3は「リムーバブルドライブ」とは認識されていません。あくまで「固定ドライブ」の扱いです。

USB接続の外付けハードディスクもOS側の操作でホットスワップが出来ますが、それと同じようにポータブルSSDもあくまでUSB接続の「固定ドライブ」ということですね。

また小さな違いかもしれませんが、(ファイル)エクスプローラのコンテキストメニューに「取り出し」コマンドが出てきません。

SDカードだとメニューはこうなります。

そういった部分もUSBメモリやSDカードなどのリムーバブルドライブとの違いとなっているようです。

SSD-PUT250U3はサーマルスロットリング??

ベンチマークテストなどを実行したあとこのSSDを本格的に運用し始めようと、写真データのバックアップを行なってみました。だいたい容量にして50GB、ファイル数にして1万2千ファイルちょっと。そのデータをフォルダごとコピーしてみたのです。

そうするとコピー途中でかなり極端な転送速度の低下にぶち当たりました。

転送しているデータは1つ1つのファイルのサイズが小さくて数が多いので通常の動作中も転送速度は上がりきらないのですが、性能低下が起こっている最中の劣化の幅が大きすぎる気がします。一度、現象が発生すると書き込み速度は20MB/s弱になります。

Amazonのこの機種のレビューを見てみると大きな容量のデータを一気に転送すると「サーマルスロットリング」による速度低下が発生する、との記載がいくつかありました。

サーマルスロットリングはCPUなどの温度が上がりすぎて熱暴走したり焼損したりすることを防ぐために、チップの温度が一定以上の水準に達したときに処理性能を落としてそれ以上の温度上昇を防止する仕組みです。

確かに著者の環境でもSSDのコントローラの温度が73度まで上がっていることが確認でき、こちらでも同じ現象が起こったのだと思ったのです。

が、その後、色々と使っていくうちにどうも単純にコントローラが高温になりすぎたことよる性能低下だけではなさそうな事例が出てきました。

温度が上がっていない状態でも性能が低下するケースがあることが分ったからです。

SSD-PUT250U3はどちらかと言えば「SLCキャッシュ」マター?

そこで思いついたのが「SLCキャッシュ」の容量の影響です。

SLCキャッシュとは最近のSSDで高速な転送速度を実現するためにほぼ必須となっている技術です。

普通のSSDで使われているMLCやTLC、QLCといったNANDメモリでも、動作モードを切り替えることで1セルに1bitだけ記録する動作(=SLC動作)をさせることができます。こうすることで記憶容量は減りますが動作速度がグンと上がるのです。

新しいSSDではフラッシュメモリの一部をSLC動作させてその領域をキャッシュとして活用することで、実質の性能を向上させています。

SSD-PUT250U3での書き込み性能の低下の原因は、大容量のデータをいっぺんに書き込んだことによりSLCキャッシュを使い切ってしまったことなのではないか、と推測したわけです。

一度10GBほどのデータを書き込んだあとそのファイル全部を削除。すぐあとにもう一度10GBのデータを書き込みに行くと、こんな感じで処理性能の低下が起こります。

この場合には恐らくコピー処理中にSLCキャッシュから通常の記憶領域へのデータ転送が完了したのでしょう。途中で転送速度が通常状態に回復しているのが分ると思います。

SSDの記憶領域のうちSLCキャッシュとして動作させている部分はあくまでワークで使っています。このためその領域はデータ書き込み後に開放してやらないと次からの書き込み処理でキチンと性能が出ません。

この動作はWindows側でコピー処理が終わったあとSSDの内部、バックグラウンドで処理が動いています。PC側のコピータスクが終わってもSSD側はまだ動いているわけです。この最中に次のPC側のファイルを扱うタスクがかぶると性能低下が起こる可能性がある、と読んでいます。

この辺りの動作はコピー完了後にSSDのコントローラの温度がむしろ上がるケースがあることからも推測できます。

こう書いてくると実性能が不安になるユーザーもいるかもしれませんが、一般的な利用の範囲では性能低下にぶつかるケースはそう多くはないはずです。

SSD側が通常状態にある時に10GBのデータを書き込んでも速度低下は起こりません。つまり250GBモデルでも最低10GB以上のSLCキャッシュ領域はあると言うことになります。

ちなみにデータの読み出しでは最初に書いた50GB、1万2千ファイルのデータを読み出してもコントローラの温度はそこまで上がり切りませんでした。当然サーマルスロットリングによる性能低下も発生しません。

少なくともこの製品ではSSDへの書き込み処理の方がコントローラの負荷がかなり高いようです。

ちなみにこの製品に搭載されているフラッシュメモリの素の容量は1GB=1000x1000x1000Bで計算したとき(ストレージの標準的な計算方法)には、256GBと表記できる容量が確保されています。

ですが上にも書いたSLCキャッシュを使うことによる実質容量の目減り、一部メモリに欠陥が生じたときの代替領域の確保などのために、容量250GBの製品として販売しているのでしょう。

SSD-PUT250U3のまとめ

今回レビューしたポータブルSSDのバッファローSSD-PUT250U3は、USBメモリそのもののサイズ感の中にかなり本格的なSSDの性能を詰め込んだ製品です。

使い勝手もほぼUSBメモリと言っていい気楽さですが性能の方は本格的。OSをインストールして利用しても快適なレスポンスが実現できるでしょう。

書き込むデータのサイズがSLCキャッシュの容量内であればスペックシート通りの非常に快適な使用感を常に享受することが可能です。

ただし一度に書き込むデータ量が巨大になった場合にはやや極端な性能低下が発生します。巨大なデータ、大量ファイルを一気に転送するようなやり方でのバックアップ用には適していないかもしれません。

ただ、実際にはデータが書き込めないわけではなく処理に時間がかかるだけですので、処理時間を待てる場合にはこちらの使い途も大丈夫でしょう。

一般的な「増設ドライブ」として活用する際にはこの性能低下にぶつかるケースはかなりまれだと思いますので、すごくコンパクトで手軽な高速なドライブをお手頃価格でサクッと追加できるこの製品のオススメ度は高いです。

容量単価の安さもUSBメモリ並とそちらの観点でのコストパフォーマンスも抜群です。

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