WSL 2、Windows 10の2020年春の大規模アップデートに収録決定
画像:マイナビニュース
Windows 10の環境と極めて親和性が高いLinux実行環境であるWSL。この機能の完成度をよりLinuxのよりの機能方向に高めたWSL 2が2020年春の大規模アップデートに収録されることが決定しました。
現地時間の3月13日、米マイクロソフトから正式な発表がありました。
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WSL 2とは?
以前にも一度WSL 2の概要を紹介していますが、改めて既存のWSL(以降WSL 1)との違いなどをおさらいしておきましょう。
WSL 1はLinuxのOSの機能をWindows 10のシステムの機能(=API)に読み替えながらプログラムを実行する仕組みをとっています。
この工夫のおかげでLinuxを実行するための仮想マシン(VM)を作る必要がなく、ユーザーからの見た目ではほとんどLinuxそのものの実行環境を実現しながらメモリ消費等々が非常に軽く済む上手い実装になっていました。
その代わりLinuxのAPIである「システムコール」の互換性の面では完全ではなく、また一部機能の処理性能がネイティブなLinuxシステムに大きく劣るなど、WSL 1の実現方法に由来する弱点も抱えていました。
WSL 2では特にLinuxのシステムコールの互換性向上にフォーカスして大幅な改善が行なわれています。WSL 2の仕組みでは非常に軽量・小型のVMを動かして、ほぼ完全なLinuxそのものを実行する形になります。
仮想マシンを動かすことになるため占有するメモリが増加しますし最初の起動に時間を要するようになりますが、より高い互換性と性能が期待できます。
セットアップは手動に
WSL 2では、というよりもWindows 10のバージョン2004では、と表現したほうがいいのかもしれませんが、WSLへのLinuxカーネルの添付が取りやめになります。WLS 2をセットアップする際にユーザーが手動でLinuxシステム本体の導入を行なう手順を取る形になります。
どのLinuxのディストリビューションを使うか、ユーザによってさまざまだと思いますので、場合によっては同梱したディストリビューションがムダになることもあるでしょう。新しい手順ではこれを避けられるようになります。
インストールの手間は増えますが、今までのWSLでディストリビューションを追加するときと同じようにWindows側のインストーラを使ったセットアップが可能なようですので、Linuxを素の状態から導入するよりも手間はずっと少ないはずです。
WSL 1も継続して提供
WSL 2がリリースされてもWSL 1が廃止されることはありません。今後も継続して利用が可能です。
上にも書いたようにWSL 2のほうがメモリ消費量等は大きくなりますし、起動もWSL 1のほうが軽快です。
とりあえずWindows 10とシームレスに使えるLinux環境が欲しい、というレベルでしたらWSL 1の方でも十分に役に立ちます。