Windows Hello対応デバイス、マウスの顔認証カメラ「CM01」と指紋センサー「FP01」を使ってみた
Windows 10ではOS自体に生体認証のための基盤技術が組み込まれました。それがWindows Helloと名付けられた一連のシステムです。
1番目に見えて分かりやすいところでは、Surface ProやSurface Bookのカメラ使って顔認証でサインイン操作を一瞬で終わらせられるところでしょう。
実際にSurfaceシリーズのカメラによる顔認証は、精度も高くある程度の柔軟性もあり、さらに認証速度も非常に速いので、とても実用的で便利に利用できる仕上がりになっています。
このようなWindows Helloの仕組みを活用した生体認証を、より手軽に行えるデバイスをマウスコンピューターが製品化してくれました。
マウスコンピューターが発売した生体認証用のデバイスは2種類あって、1つは顔認証用カメラユニットCM01。
もう一つは指紋センサーを使うFP01です。
今回はマウスコンピューターより試用機としてこの2種をお借りできましたので、そのインストールから実際の運用までの使用感をレポートしてみたいと思います。
目次
Windows Helloとは
冒頭にも書きましたように、Windows 10のOS自体が備える生体認証のための基盤技術全般をWindows Helloと呼んでいます。
今のところ製品に実装されているものでは、カメラを含む複合センサーによる顔認証と、指紋センサーを使った指紋による生体認証が世に多く出ています。
他にはセンサーさえ対応可能であれば、虹彩認証や静脈認証などにも対応可能とされています。
また、OS本体の機能として生体認証の仕組みが組み込まれていますので、Windows上で動作するアプリが生体認証機能を必要とする場合には、1からシステムを作り上げるよりもずっと楽に機能の実装が可能になります。
まだ、Windows Helloの仕組みを使うアプリは多くはありませんが、既に標準ブラウザのEdgeは対応を済ませており、Webサービス側が生体認証対応の作りをしている場合には、Web側のサービスへのログインを生体認証で行えるようになります。
ただ、残念ながら大手も含めWebサービスで生体認証対応を行ったところはほとんどありません。(先日、ドスパラが対応作業中、とのアナウンスはありました)
顔認証カメラ「CM01」を使ってみた
まずは顔認証用カメラ、CM01のほうからレポートしていきます。
パッケージはこのような形の小さめの箱が一つ。
ソフトウェアのインストール用のドライバーCDなども入らない程度のコンパクトサイズです。
実際、同梱品は本体と簡単なリーフレットの2つだけとシンプル。
CM01では専用ドライバーのインストールが必要ですが、ソフトウェアはマウスコンピューターのサポートページからダウンロードする方式です。
CM01のセットアップ
CM01のセットアップはカメラ本体をパソコンのUSB端子に接続したのち、ダウンロードしたドライバーをインストールします。
ダウンロードしたドライバー一式はZIP形式で圧縮されていますので、これを解凍。
setup.exeを実行します。
インストーラーが起動しますので、あとはそちらに任せておけばOK。
途中特に何かの設定なども求められることなくインストールは終了します。ドライバーのインストール後、再起動を求められますので、その指示に従ってパソコンを再起動します。
Windows Helloのセットアップ
続いてWindows 10側でWindows Helloのセットアップを行います。
こちらは設定アプリからスタートします。「アカウント」の画面を開き、
「サインインオプション」の項目を選択します。
正常にCM01のインストールが完了していれば、Windows Helloの記載の中に「顔認識」の項目が出現しますので、そこから「セットアップ」のボタンをクリックします。
するとWindows Helloセットアップのウィザードが起動しますので、こちらから「開始する」を選択。
Windows Helloで生体認証を使ってサインインを行う際には内部的にはPINコードを使用するようで、PINの設定を行っていない場合にはWindows Helloの設定の流れの中でPINを設定する形になります。
今回CM01をセットアップしたPCでは既にPINによるサインインを行っていましたので、この流れの中でPINの設定は要求されません。
利用中のPINコードを入力します。
PINが正しければ、顔の情報を取り込む処理が走ります。
カメラの正面に入ってカメラの方向をしばらく見ているだけで、自動的に情報の登録は完了します。
セットアップが完了すると、設定アプリのWindows Helloの記載の内容が変化します。追加の情報を登録する「認識精度を高める」ボタンと、登録した情報を削除するための「削除」ボタンに変わります。
ここまでで通常は設定作業は完了です。あとはWindows 10から一度サインアウトすれば、すぐに顔認証によるサインインが動くようになります。
顔認証でサインイン
Windows 10が起動してCM01が認識されれば、何も操作することなく顔認証でサインインが動いてくれます。
体感的にはSurface Pro 4やSurface Bookよりも、今回試した環境ではカメラのデバイスの認識に若干(1秒前後)時間がかかる程度で、その後の認証動作は通常はコンマ数秒と、あっという間に完了します。
意識していなければ、気づいたらいつの間にかWindows 10のデスクトップ画面が表示されていた、そういう感触での動き方になります。
非常に楽で快適です。
CM01の使いごこち
今回使用した環境では、カメラにとってはあまり条件がいいとは言えない環境になっていると思うのですが、顔認証によるサインインは完璧な動作でとてもスピーディーに動いてくれます。(後ろに窓があって、明るい光が画面内に入り込む環境)
一度これになれてしまうと、ちょっとキー操作によるPIN入力には戻りたくない感じすらします。
ディスプレイの上にかける形で設置していますが、よほどの狭額縁タイプのディスプレイでない限りちょうどいい設置感になると思います。
また、ディスプレイの上に設置する場合には、CM01はパネル面をバネ仕掛けなどで挟み込むわけでもなく、ただ「載っかっているだけ」の状態になるのですが、とても安定して上手い具合に収まってくれる感じです。
ただUSBケーブルの常で、ケーブルは細めなものの硬さがあるので、ケーブル接続後にカメラユニットを配した方が良いでしょう。
Webカメラでは、Windows 10標準のカメラアプリで撮影してみたところ1280 x 720ドットの画像が撮れました。
WebカメラとしてはいわゆるHD解像度のカメラのようで、特に高解像度ではありませんが色などはかなりキレイに出ます。Skypeからもカメラとしてきちんと認識されています。
指紋認証リーダー「FP01」を使ってみた
FP01のほうが指紋センサーを備えたデバイスで「ツライチ」とまではいきませんが、超小型の無線マウスのレシーバと同じようなサイズ感の、とてもコンパクトな本体になっています。
パッケージの方もブリスターパックと、とてもシンプル。
サイズはこんな感じです。一般的なUSBメモリと並てみるとかなり小さいのがよくわかります。
ノートPCのUSBコネクタに装着すると、こういったイメージになります。
FP01のセットアップ
FP01のセットアップは通常はユーザーは何もしなくて大丈夫です。ドライバーのたぐいはWindows 10が既に情報を持っていて、プラグ・アンド・プレイで自動的にインストールが完了します。
何らかの理由で自動インストールが上手くいかないときのみ、以下からドライバー一式をダウンロードしてインストールします。
ドライバーがインストールされてFP01がWindows 10に認識されると、青いLEDが点灯状態になります。
Windows Helloのセットアップ
ハードウェア側のセットアップはあっという間に終わりますので、あとはWindows 10側、Windows Helloの設定を行うだけです。
こちらも設定アプリのアカウントの画面からスタートです。
サインインオプションの項目を選択。
FP01がきちんとセットアップできていれば、こちらではWindows Helloの記載の中に「指紋認証」の項目が出現しているはずです。
「セットアップ」ボタンをクリックして、Windows Helloのセットアップウィザードを起動し、「開始する」ボタンから設定をスタートします。
指紋センサーにタッチ、という画面に切り替わりますので、FP01のセンサー面に登録したい指を当てます。
認証精度などを上げるためか、何度もタッチを求められます。少しずつ角度を変えながら情報を登録しておくといいかもしれません。
十分な指紋情報が取れると画面が切り替わります。
今回FP01のセットアップを行ったパソコンはPINの設定を行っていませんでしたので、このタイミングでPINの設定を求められます。
「PINの設定」のボタンをクリックして先に進みます。
Microsoftアカウントでのログインを求められますので、パスワードを入力します。
続いてPINコードの登録になります。設定するPINを2カ所に入力して「OK」ボタンをクリックします。
これで指紋情報などの設定は完了です。設定アプリのサインインオプションの表記がこちらも変化しています。
他の指でのサインインに対応するための「他の指紋を追加」のボタンと、既存の指紋情報を削除するための「削除」ボタンが出現するようになります。
指紋認証でサインイン
FP01を使ってWindows 10にサインインする場合には、FP01のセンサー面に登録した指を当てるだけです。
こちらも認識は一瞬であっという間のサインイン操作です。
サインインは非常に快適になります。
FP01の使いごこち
Windows 10へのサインイン時、指でのタッチを求められている間はFP01の青いLEDが点滅状態に。認証が成功すると緑のLEDが点灯しますので、今どういう状態なのかが一目で分かる、とても分かりやすいインタフェースです。
また指紋を認識する能力もとても高く、筆者手持ちのスマートフォンXperia Z5の指紋センサーよりもずっと使用感が良くなっています。Xperia Z5のセンサーの評判がかなり良くない、というのを割り引いて考えても、この認証精度は非常に立派だと思います。
設定後、指紋の読み直しが必要になったケース、3回続けて認識せずにPINを入力しなくてはいけなくなったケースは、ここまでまだ一度もありません。また、認識も本当に一瞬で完了します。
FP01使いこなしのちょっとしたコツ
FP01に限らず、スライドしなくていいタッチ式の指紋センサー一般のお話になると思いますが、このタイプの指紋センサーで認識の精度を上げるには、ちょっぴりだけコツがあります。
Windows Helloでも最初の情報登録の際に何度もタッチを要求されますが、その際に少しずつ認証に使う指を当てる面を変えながら情報を覚えさせた方が、あとから使う際の認証精度が上がります。
また登録の際には、実際にパソコンを使うときに指をセンサーに当てる角度を意識して登録を行いましょう。登録時と違う角度で指をセンサーに当てても、恐らくきちんと認識はしてくれません。
同じ指で認証を行うのでも、指を当てる角度を全く異なった状態で認証させたいときには、別の指紋を登録する形で全く別の登録とした方が良いと思います。
まとめ
顔認証用カメラユニットのCM01、指紋認証用のFP01、どちらもWindows 10へのサインイン操作を非常に簡略化してくれる便利な周辺機器です。
CM01のほうは従来はRealSenceのカメラユニットが必要で、2万円以上していた顔認証用デバイスを半額以下まで持ってきてくれました。
Windows Hello対応に8,000円程度の投資をどう考えるか、という点が普及の壁になる可能性があるかもしれませんが、一度この便利さを味わってしまうと、FP01のほうの5,000円程度の価格も全く気にならなくなると思います。
ただ、現時点ではほぼ、Windows 10へのサインイン専用のデバイスになってしまう、と言うところは痛いところかもしれません。各種Webサービスが生体認証によるログインに対応してくれるようになると、また流れはガラッと変わると思うのですが。
もっとも高いセキュリティレベルを求められるはずのネットバンキングなどは、こういうところも動きが遅いように見えるのが、なんとも歯がゆい気がします。
今後の様々は情報端末を利用するシーンは、どんどんクラウドのサービスへの依存度を高めていくことになると思います。ですので、こういった生体認証の技術の必要性は高まることはあっても軽視されることはまずあり得ないでしょう。
今後、もっと注目して良いデバイスになっていくのではないでしょうか。